知ると面白い およげ!たいやきくん 大ヒットと大騒動!?

知ると面白い およげ!たいやきくん 大ヒットと大騒動!?

国内におけるシングルレコードの売上枚数記録№1を誇るのが、1975年に発売された「およげ!たいやきくん」です。100万枚売れれば大ヒットと言われますが、この曲はなんと累計で500万枚を越えるウルトラ大ヒットで今でも売上が有るそうですが、製作関係者に悲喜こもごもの大騒動を巻き起こした曲でもあるのです。今回は、このウルトラ大ヒット曲を巡る一連の騒動について述べてみたいと思います。

曲の放送開始と歌手の交代

そもそも、この曲はフジテレビの朝の子供向け番組である「ひらけ!ポンキッキ」の中で使われていた月代わりのオリジナルソングの1つで、当初は生田敬太郎さんが歌っていたのですが生田さんがキャニオンレコードからテイチクレコードに移籍したので、キャニオンレコードと提携していたフジテレビとしては歌手の変更を余儀なくされてしまい、急遽、ピンチヒッターとしてガッチャマンのテーマ等を歌っていた子門真人さんに交替してもらう事になったのです。子門さんはサラリーマンをしながらアニメやドラマのテーマソングを一曲5万円くらいのギャラで歌う事をアルバイトにしており、その歌唱力には定評がありましたのでお願いしてみた所「朝の番組なら出勤前に出られるからいいですよ」と快諾してもらえたのです。

レコード化にあたって

「ひらけ!ポンキッキ」の毎月の歌は恒例としてキャニオンレコードからシングル盤が発売される事になっていました。そして、およげ!たいやきくんも恒例通りにレコードが出る事になったのですが、一つ困った問題が起きました。子門真人さんはフリーの歌手なので持ち歌が無くB面に入れる曲が無かったのです。子供向けソングであれば何でもよかったので、改めて子門さんに何か歌ってもらう、という手もあったのですがキャニオンレコードのディレクターは「あ! そうだ!」と思いついた事がありました。

なぎら健壱さん

今でもTVで見かける、なぎら健壱さんは当時、キャニオンレコードの所属でフォーク歌手として歌っていました。しかし中々ヒット曲に恵まれず、深夜ラジオで流された事がきっかけで注目を集めヒットしかけた「悲惨な戦い」という歌は「実在の人物名が出てくる」という理由で放送禁止となってしまい尻つぼみ、という結果に終わってしまいました。

そうしているうちにフォークソングブームも去り仕事が激減してしまい、当時は「土方」をして暮らしていたそうです。なんでも土方の親方に言わせると「百年に一人の逸材」との事で「土方にならんがために生まれてきたような男」で非常に重宝されており、日給も一万ちょっとと高めだったそうです。ディレクターは、なぎらさんに電話をしてキャニオンレコードの本社に来てもらう事にしました。以下、なぎらさんの回想を元に再現した会話です。

なぎらさん 「なんですか? もしかして新曲出さしてくれるとか?」

ディレクター「いや、そうじゃなくてね。ちょっと相談があってさ」

なぎらさん 「相談?」

ディレクター「実はさぁ、恒例で子供向け番組の歌をシングルで出すんだけどB面がなくてね。で、ほら君の歌であったじゃん。いっぽんでもなんとかって奴」

なぎらさん 「いっぽんでもニンジン?」

ディレクター「そうそう、それ。それをさぁB面に使わせてもらえないかな、と思ってね」

なぎらさん 「はぁ。まぁいいですけど、いくらくれるんですか?」

ディレクター「そうだなぁ、一枚1円でどう?」

なぎらさん 「一枚1円! 一体、何枚出すんですか?」

ディレクター「5000枚」

なぎらさん 「じゃ、たった5000円?」

ディレクター(笑いながら)「ないない。いいとこ3000枚だね」

なぎらさん 「3000円? あのですね。私『百年に一人の逸材』と言われてましてですね。仕事にいけば一日一万は」

ディレクター「分かった、分かった。じゃ、こうしよう。印税じゃなくて、ギャラで払うよ。30000円。ほら、今あげるからさ」

なぎらんさ 「うーん。30000円かぁ、どうしよっかなー」

(と言いながら手が30000円を握る)

ディレクター「じゃそういう事で」

なぎらさん曰く「考えてる間に手が自然に伸びて金を掴んでた」そうで、「いっぽんでもニンジン」という歌はキャニオンレコードが30000円で買取という事になりました。一方、子門真人さんも「いつものように5万円でいいすよ」という事で「およげ!たいやきくん」は50000円で買取という事になりレコード化される事になりました。

予約開始と騒動の始まり

そして、これも恒例ですが新発売のレコードは事前に予約を受け付けています。ですので「およげ!たいやきくん」も予約受付を開始したのですが、異常事態はこの予約受付から始まりました。なんと事前予約が30万枚を越えてしまったのです。当時、キャニオンレコードの営業部長だった津澤正次氏は驚愕する一方、「これはまずい!」と気づきました。当時、キャニオンレコードがレコードプレスを依頼していた東洋化成の生産能力では発売日までに30万枚もの大量のプレスは出来なかったのです。困った津澤氏は社長の許可を得て他のレコード会社にお願いしてプレスを手伝ってもらう、という前代未聞の手段で、何とか30万枚のプレスを間に合わせます。しかし異常事態は、まだ「ほんの始まり」でした。

オリコン史上初のシングルチャート初登場1位となり、それが11週間続きました。子門真人さんは、今やTV出演で大忙し。一方レコードの売上は、あっという間に100万枚を越えてしまい、まだ予約が50万枚残っているという状態で日本国内のレコード会社のプレス工場は「およげ!たいやきくん」のプレスに追われ、他のレコードのプレスが出来なくなり、新人歌手のデビュー予定が延期になったり、発売予定のレコードを中止にせざるを得なくなったりしました。後にYMOでテクノミュージックという分野を作り上げた坂本龍一氏も、この影響を受け、最初のレコードの発売が半年、遅れたそうです。しかも一過性のブームと思いきや、出荷枚数は伸び続け遂に300万枚を突破し、まだ予約を抱えているという状況でした。しかし印税契約でなく買取契約だったので「これではあまりにも」という事で子門さんには後から100万円がヒット賞として送られましたが、この大ヒットはA面による物、との判断でB面の「いっぽんでもニンジン」には特に何もありませんでした。

童謡か歌謡曲か

つまり売上利益のほとんどが、キャニオンレコードの収入となった訳ですが、これに対し管轄の品川税務署が動き出しました。当時は「物品税」という税金があり、楽曲の場合「童謡」であれば非課税ですが「歌謡曲」だと課税対象になるからです。当初、当然ながら「童謡である」とキャニオンレコードは主張していましたが「歌謡番組で歌われているではないか。だから歌謡曲だろう」という事で課税対象だと主張し対立したのです。この問題は裁判に発展しそうな勢いでしたが国税局が「童謡である」と認定した事で一件落着となります。以後、ジャケットに「子供向」・「児童向」と有る場合は童謡、それ以外は歌謡曲という音楽業界での自主規制が物品税の廃止まで続く事になります。

ついにギネスブックに登録

その後LPも発売され、これもあっという間に50万枚を突破し、シングルは350万枚を突破し「およげ!たいやきくん」は世界で最も売れた音楽作品として遂にギネスブックに登録される事になりました。2008年にレコードからDVDに媒体変更されても、売れ続け、ネットの普及で楽曲のダウンロードが可能となってからも売れ続け、現在でも、まだ売れています。一体、累計で、どれくらい売れたのかは、もう分からないくらいで、最低でもシングル換算で500万枚は軽く越えるだろうと言われています。

製作関係者の現在状況

本来なら、この曲を歌うはずだった生田敬太郎さんは、頑としてインタビューを拒否し続けましたが2011年になってから36年ぶりに「およげ!たいやきくん」を歌ってみせました。もしレコード会社の移籍がなかったら、この曲は生田さんが歌う事になったはずであり、物凄い金額の印税になったはずだったのです。なお今年76歳になる子門真人さんは1993年に芸能界を引退し、その後、メディアへは一切出ていません。一度「あの人は今」という番組で現在の子門さんを訪問した所、激怒され取材を断念せざるを得なかったそうです。芸能界というのは人間関係のしがらみが強く、それが子門さんの繊細な神経には合わなかったのではないか、とも言われていますが、当時のディレクターから「いつも通り、買い取りでいいよね?」と持ちかけられた事から人間不信に陥った、という噂も流れていますが定かではありません。

キャニオンレコード(現在はポニー・キャニオン)は「およげ!たいやきくん」で物凄い利益を得て、新社屋を建てましたが、このビルは通称「たいやきビル」と呼ばれています。

なぎらさんは現在もTVなどに出て、芸能活動をしていらっしゃいますが「たいやきビル」に行くたびに「この玄関は俺のもんだかんな」と言っているそうで、「あの時、1円でもいいから印税契約にしておけば」と今でも悔やんでおり、こうなったら子々孫々、この恨みは伝えていかねば、と決心され息子さんに伝えた所、全く相手にされなかったそうで、しょうがないからライブのたびに自分で言っていたら、観客にも飽きられてしまい、もう諦めたとの事。ただ、今でも「たいやき」という言葉には非常に敏感で勝手に体が反応してしまうそうで、なぎらさんの前では「たいやき」は禁句だそうです。

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