知ると面白い 英国軍史 海軍全盛期 女王陛下の不思議な軍隊はそれでも負けない

知ると面白い 英国軍史 海軍全盛期 女王陛下の不思議な軍隊はそれでも負けない

英国(イギリス)といえばヨーロッパにある島国ですが、他のヨーロッパ諸国とは色々な意味で「一味違う国」としてヨーロッパ諸国では知られています。かつては世界中に多数の植民地を持ち地球の1/4を支配する大英帝国として世界に君臨した国であり、現在でも国旗の左上に英国国旗を配した国を「グレートブリテン連合王国」と呼び、これらの国々はエリザベス女王を国家元首としています。オーストラリアやニュージーランドは現在でも連合王国の一員です。ですので、オーストラリアやニュージーランドの首相は今でもエリザベス女王には頭が上がらないのです。何しろかつてはアメリカ合衆国も英国の植民地だった位ですから、その凄さが分かります。単純に考えると「それだけ強い軍事力があるのだろう」と想像しますが英国の軍隊は詳細に調べてみると実に面白い事実が次々と出てくる、実は相当にユニークな軍隊なのです。現在の「最強国家」であるアメリカ合衆国軍は「まさにビジネス」というスタイルで軍備強化を進めていますが「かつての最強国家」である英国の軍隊とは一体、どんな物だったのかを述べてみたいと思います。

アメリカ独立戦争

長年の重税に苦しめられ不満を抱いていたアメリカ植民地勢力は、ついにレキシントン(現在のマサチューセッツ州)で英国陸軍との武力衝突を起こします。この衝突をきかっけにジョージ・ワシントンを司令官とするアメリカ植民地勢力は一斉に立ち上がり英国軍に立ち向かいました。英国側の主力は陸軍です。これをチャンスと見た「長年の不仲の隣人」であるフランスも対英宣戦を布告し軍隊を送り込み、結局パリ条約が締結されアメリカは独立を勝ち取り勝利します。これは数少ない「英国軍の敗北」ですが、アメリカ側に加担したフランスは、この戦争でえらい戦費を費やしてしまい財政的に窮地に追い込まれ、これが有名なフランス革命を招く事となってしまい、フランス王室を破滅させてしまいます。これは英国が意図した事ではないのですが結果的に「長年の不仲の隣人」を没落させる事となり、まさに「負けるが勝ち」という結果になってしまったのです。

ナポレオン戦争

次にヨーロッパを席巻したのはナポレオン・ボナパルトでした。フランス革命を収束させ軍事政権を作りヨーロッパ諸国を次々と攻略し残るはロシアと英国とオスマントルコの3つだけとなりました。世界征服をもくろむナポレオンにとって特に邪魔だったのが英国の東インド会社を中心とするアジアへ続く制海権でこれを絶たないと英国は滅ぼせないと考えたナポレオンは、まず対陸封鎖令という物を出し英国を貿易面でヨーロッパから孤立させ兵糧攻めにしようとしました。所が実際には貿易面で優位に立っていたのは英国側で逆に英国からアジア産品の輸入が出来なくなった大陸側のヨーロッパ諸国が困り果ててしまう結果となってしまいました。業を煮やしたナポレオンはスペインと連合艦隊を組み、いよいよ英国海軍と全面対決する事を決心します。しかし、英国海軍と対決する、と聞いたフランス海軍の船乗り達は内心「それだけは勘弁してくれ」と思っていたのです。なぜなら当時の英国海軍にはホレーショ・ネルソン提督という「超危険人物」がいたからです。当時の海戦は船同士で大砲を打ち合う事から始まりますが、当時の砲弾は「ただの鉄の玉」で船体に穴をあける事しかできません。つまり大砲で相手の船を沈める事はできなかったので、最終的には敵船に乗りこんでの白兵戦となり、その白兵戦に勝利した方が勝ちとなったのです。とはいえ、まずは大砲で相手の戦力を少しでも削ってから白兵戦を行う、というのが当時の海戦の常識と言えば常識だったのです。

しかしネルソン提督の戦法は至って単純で相手が自軍の何倍いようが、守りを固めていようが構わずに船を全速力で突進させ、敵船にぶっつけて、わーっと盛大に切りこんで勝つ、という物でした。この場合、先頭で突進していく船は敵船から集中砲火を浴びますがネルソン提督は常に自分の乗った旗艦ビクトリーを先頭に突っ込んで行き、しかもネルソン提督自身が前甲板の真正面に立っていました。つまり自ら、最も危険な場所を選んで立っているのです。敵の撃った砲弾が顔の横をかすめようが、足元に砲弾が直撃しようが眉一つ動かさずに「優雅に」後ろ手を組んで立っているのです。総司令官が自らを最も危険な場所に置く姿を見せられた部下達は奮い立ちます。そして敵船にぶっつけるやいなや、猛然と切り込んでいくのです。そして阿鼻叫喚の白兵戦が行われている最中もネルソン提督は自ら「敵側から最もよく見える」場所にを身さらしながら優雅にたたずんだり、白兵戦の中をゆっくりと優美に歩き回ったりしているのです。さすがに、たまには銃で撃たれたり剣で切られたりしますのでネルソン提督も歴戦を重ねた結果、片目と片腕を失いましたが、戦法は変わりません。歴戦を重ねるうちにネルソン提督の部下は一騎当千のつわものばかりが残る結果となり、ますますネルソン艦隊は強さを増し、敵軍の中に「ネルソン恐怖症」が芽生え、ネルソン艦隊を見るや急いで逃げ出す艦隊までいた位なのです。

フランス、スペイン連合艦隊の規模はおよそ英国艦隊の2倍ありました。ネルソンなにするものぞ、と進んでいったナポレオンに対しネルソン提督の旗艦ビクトリーが先頭となり全速力で襲い掛かってきました。最初は大砲の打ち合いからだろうと予想していたナポレオンは完全に虚を付かれたのです。急いでネルソン提督の船に集中砲火を浴びせますが、当たろうがなんだろうが向かってきます。しかもネルソン提督の船に大砲が集中した結果、他の船は動きやすくなり、こちらも猛然と全速力でフランス・スペイン連合艦隊に襲い掛かっていきました。ネルソン提督は開戦前に“England expects that every man will do his duty”(英国は各員がその義務を尽くすことを期待する)という信号旗を出し、引き続いて「接近戦指示」の信号機を出していたのです。つまり英国艦隊は最初から砲撃戦無しで切り込み白兵戦でいくぞ、と待ち構えていた訳です。

そこへ砲撃戦の準備を整えたフランス・スペイン艦隊がやってきたという展開でした。その結果。英国側死者449人に対して、フランス・スペイン連合艦隊は死者 4,480人、英国艦隊が失った艦はゼロに対してフランス・スペイン連合艦隊は大破・拿捕22隻と海戦史上、稀に見る大勝利となり英国側の圧勝となりました。

この海戦は後にトラファルガー海戦と呼ばれる事になります。しかし、この海戦でネルソン提督も銃弾に当たり、遂に死亡してしまいます。でも「ついにナポレオンをして英国本土を一歩たりとも踏ませなかった英雄」としてホレーショ・ネルソンの名前は現在でも英国民から厚い尊敬を受けておりロンドンのトラファルガー広場中心にはネルソン記念柱が建てられています。そして君主以外では初となる国葬が行われ、「王」として今でもセント・ポール大聖堂に葬られています。ネルソン提督以降、英国王室では王子は軍務に付く事が恒例となり、王子だけでなくいわゆる「高位者」が自ら進んでリスクを負う事が「義務」とされ、これが以降の英国の国力を大きく増進させる礎となるのです。

7年戦争

次に英国軍に降りかかってきたのは7年戦争というプロイセン(現在のドイツとポーランドあたりにあった国)とハプスブルグ家の領地争いに端を発した戦争で英国軍の相手は、またも「長年の不仲の隣人」であるフランスでした。争いのネタは植民地の争奪戦です。

フランスは長い国境線を持つ国ですので陸軍が強く、海軍は島国である英国には敵わなかったのでフランス本土で陸軍勝負に出る事にし船を使う植民地の守りは現地に任せ、そちらはある程度の負けはやむをえないという作戦を立てました。

それに対し英国は陸軍では勝てそうも無いので、当時最強の将軍であったプロイセンのフリードリヒ大王に大金を払いフランス陸軍と戦ってもらう事にして自分達は得意の海戦でフランスの植民地を次々と襲う、という作戦でのぞみ思惑通りフランスに勝利します。この辺が英国軍の真骨頂というかズルイ所で、フランスは「してやられて」しまうのです。

産業革命とアヘン戦争

18世紀前半から英国で産業革命が起こります。蒸気機関が完成した事により機械化が進み、あらゆる産業が一気に進歩したのです。この進歩は英国の産業を大きく進展させ、いよいよ大英帝国が築かれていきます。産業革命はベルギー、フランス、アメリカにも飛び火し、この4カ国は、ぐんぐんと発展していきます。そんな中、英国はインドで取れたアヘンを中国に持っていって高値で売るという商売を始め、これで巨万の富を稼ぎます。しかし、そんな事をされた中国(当時は清)は、たまったものではありませんのでアヘンを輸入禁止にして英国商人の摘発を始めました。

英国側も「さすがにこれは、こっちが悪いのでは?」という議論も起き、清に対して派兵するかどうかを政府内では決めかねて議会に判断を委ねました。そして賛否を問うた所、賛成271票、反対262票という僅差で派兵が決まり英国は清へ艦隊を派遣します。

これが、いわゆるアヘン戦争ですが軍艦16隻、輸送船27隻、東インド会社所有の武装汽船4隻、陸軍兵士4,000人という大規模な艦隊はあっという間に首都北京近くの天津沖に入ってきました。これに驚いた道光帝はすぐに交渉を求め香港割譲、賠償金600万ドル支払い等の和平条件にOKを出します。それならと艦隊が引き揚げた所、安心した道光帝は一旦、出したOKを撤回する、という強硬手段に出ました。一旦、引き返しかけた艦隊は、それを聞くやUターンして来て沿岸各地を次々と攻撃し始めます。清と英国では武器の火力が違いすぎて清は全く歯が立たず、ついに運河まで制圧され北京は補給路を絶たれてしまい陥落目前にまで追い込まれ、道光帝は先の条件より相当に厳しい和平条件を飲まざるを得なくなってしまいます。これが香港の英領化の始まりとなります。清と英国の間でやたら英国に有利な不平等条約が結ばれたと知るや、フランスやアメリカもやって来て、同じような不平等条約を清に結ばせます。おかげで清は欧米列強諸国のやりたい放題という状況にされてしまったのですが、それまで、欧米列強諸国という物、そのものを知らなかった清にとっては「初めて触れる異文化」であり「このままではいけない」という思いを抱くきっかけを与える戦争となりました。

クリミア戦争

この戦争は、そもそもロシアとオスマントルコが始めた喧嘩で遠く離れた英国は全く無関係な存在でした。ところがロシアがオスマントルコのシノープという黒海南岸の港湾都市を徹底的に破壊し住民を虐殺した事から英国内で「ロシア許すまじ」という世論が起きオスマントルコの要請もあって「仕方なく派兵した」戦争です。フランス国内でも「ロシア許すまじ」という世論が起きており、しかも英国が派兵するならこちらも負けてはおられん、という意地でフランスまで派兵する事になってしまったのです。

場所はキャビアで有名な黒海です。英国艦隊とフランス艦隊はそれぞれ、黒海に入り停泊し戦闘準備に入ろうとしたら急に天候が変わり嵐になり天候変化を予想していなかったフランス艦隊は半分の戦艦が沈んでしまい使い物にならなくなってしまいました。黒海というのは気候変化が激しい事で有名だそうでフランスはそれを知らなかったとの事。英国艦隊は天候急変には慣れているので大丈夫だったそうで、以降、フランスでは天候に関する研究が急速に進む事になったそうです。そして、この戦争は3年半も、だらだらと続くのですが、一体、何のために戦っているのかが参戦国自体にもよく分からなくなってきており(発端はモンテネグロ公国という国がオーストリアとロシアが賛同した新憲法にオスマントルコが反対したというのが理由)英国もフランスも既に世論はさめ、参戦各国のトップも交代しており、結局、戦勝国は無しという結果でパリ条約が調印され終戦します。

どうにも良く分からない戦争なのですが1つだけ、はっきりした事がありました。

それは産業革命が進んでいる英国とフランスは全ての面でロシアより優れていた、という事です。ロシアはこの戦争で武器、弾薬、機動性、輸送力の全てで英仏両国にはるかに劣る事を露呈してしまったのです。

第一次世界大戦

有名な「サラエボ事件」でオーストリア=ハンガリー帝国がセルビア王国に宣戦布告。ついでドイツがロシアに宣戦布告。ロシアは同盟関係にあったフランスに要請しフランスは普仏戦争の復讐もあり戦闘態勢に入るや否やドイツが先にフランスに宣戦布告。ドイツ軍が中立国家ベルギーの国境を侵害したため英国がドイツに宣戦布告。英国と同盟関係にあった日本もドイツに宣戦布告とドミノ式に戦争が始まった第一次世界大戦では英国は連合国側としてドイツを相手にしました。ベルギーを突破したドイツ軍をフランス軍がマルヌ河畔で食い止め、戦線は膠着状態に陥ります。これがいわゆる「西部戦線」です。

英国はフランス軍を中心とする西部戦線に物資補給と大量の兵士増援を行う一方、アジア、アフリカにあるドイツ領を、大英帝国軍全軍を動員して攻撃します。オーストラリア軍、ニュージーランド軍が大英帝国軍として参戦した初めての戦いとなりました。

西部戦線は第一次大戦で最も激しい消耗戦となった戦線で一進一退をしながら、じりじりと戦線は移動していくという展開になり物凄い数の死傷者が出ます。英国にとってアメリカ独立戦争以来の陸軍戦であり、これまでに無い死傷者を出しますが、遂に連合国側の勝利となります。「長年の不仲の隣人」であったフランスと本気で協力し戦った戦争となりました。本来は海戦が得意な英国が最もダメージを受けた戦争であるとともに「海軍だけではダメだ」と痛切に感じた戦争でした。また英国陸軍は西部戦線を中心に100万人近くの男性が戦死したことで男女比率が大幅に変わってしまい戦後に訪れた不況、恐慌で失業率は天井知らず。しかも復員兵はほとんどPTSDPost Traumatic Stress Disorder :心的外傷後ストレス障害)という勝ちはしたけれど…と言う結果でしたが、それは英国に限らず全ヨーロッパが味わった悲惨でした。

その一方、1903年にライト兄弟により発明された飛行機は既に武器として使用され複葉機のプロペラ機ではありましたが戦闘機が登場し、ドイツはUボートという潜水艦を開発、海戦に投入し実用性を実証しました。それまで海戦力の強さで世界を牛耳ってきた英国軍の優位さは徐々に失われ、大英帝国は勢いを失い始めます。

そして次の時代の鍵を握る飛行機の時代に入って行き次の大戦を迎える事になるのです。

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