知っておきたい 核燃料の最終処分方法

知っておきたい 核燃料の最終処分方法

北海道の寿都町と神恵内村が高レベル放射性廃棄物の最終処分場として名乗りを挙げた事がニュースで報じられています。色々と事情があっての選択なのでしょうが、そもそも「高レベル放射性廃棄物」とはどんな物で、それが埋設されるとどうなるのか? については、あまり深く報じられていません。そこで、それを掘り下げて解説してみたいと思います。

高レベル放射性廃棄物とは?

原子力発電所で発電のために水槽の中で低濃縮ウランを核分裂反応させ、水槽の水を沸騰させ水蒸気でタービンを回し発電を行います。そして核分裂反応が終わると核分裂反応の残留物が出ますが、これを硝酸という強酸性の液体で溶かします。この溶かした液体と溶かしきれなかった若干の固形物をガラスに混ぜ固めた物が高レベル放射性廃棄物と呼ばれる物です。

このガラスに混ぜ固めた物質は致死レベルの放射能を発しており常に200度前後の高熱を帯びていますので手で触ろうものなら20秒後には被ばくで確実に死んでしまう、という相当に危険な代物です。そのガラス個体は、現在でも年間1300~1600tのペースで増え続けており青森県六ヶ所村と茨城県東海村に設立した一時貯蔵管理センターだけでは追い付かず、ほとんどが原子力発電所に保管されたままの状態で日本だけで、既に一万数千トンが溜まった状態になっているのです。

本来はどう処理するつもりだったのか?

高レベル放射性廃棄物をどうするか? というのは日本で原子力発電がおこなわれる計画が持ち上がって以来、ずっと研究、議論されてきたのですが最終的に日本政府が出した結論は「地層処分」という要は「地下深くに埋めてしまおう」という物でした。何か有効活用できないか?(オメガ計画) 量を減らす事はできないか?(群分離、核変換構想)など色々な研究が行われましたが残念ながら、どの研究も実を結びませんでした。そして政府は平成12年(西暦2000年)に「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」というのを議会に提出、可決成立し高レベル放射性廃棄物は地層処分すべし、と最終決定したのです。要は最終処分をどうするか決めないまま「見切り発車的」に原子力発電は始まったのです。

これは日本だけでなく世界各国でも同じでアメリカ、ドイツ、フィンランドでも色々と研究、検討した結果「地中深く埋めて処分するしかない、という最終結論に達しています。

アメリカではロケットを使って太陽に打ち込む、或いは太陽系外へ飛ばしてしまうという計画も立てられましたが、万一、ロケットの打ち上げが失敗して空中爆発でもしたら大変な事になる、という事で中止せざるを得ませんでした。

また、もう一つのアイデアとしてプレートとプレートの間に挟んで地中奥深くまで持っていってもらおう、というのもありました。プレートは年に数cmづつ地中深くへ移動していき、元の面が再び地表に現れるのは数千万年から数億年後と考えられるので、それだけの時間があれば、さしもの超危険物質も期限切れとなり無害な物になるだろうしプレートとプレートの間なら完全に人類の生息域から隔離できると考えたのです。これは実際に実験もされたのですが残念ながらプレートとプレートの間に物を挟み込んでもプレートはそれを押し出してしまい成功しませんでした。しかも高レベル放射性廃棄物が安全な物になるまでの時間を間違えていたのです。

埋めるだけで本当に大丈夫なのか?

実はこれも、まだ研究中なのです。ウラン鉱脈が豊富に有るカナダでは地中のウラン鉱が発する放射能は地表に影響を与えていない事が確認されており、深地中である300m以上の地下なら「多分、大丈夫だろう」と考えられているのですが日本では茨城県東海村に地層処分基盤研究施設、地層処分放射化学研究施設、さらに幌延深地層研究センター、瑞浪超深地層研究所で地層処分において必要となる技術を研究している所です。現在の所、単に地中に埋めるのではなく、キャニスターという保護容器に入れ鉄筋コンクリート構造物による3重バリアーを施せば数万年以上の耐久性があると考えられていますが、高レベル放射性廃棄物が「安全な物質」になるまで一体、どれくらいの期間がかかるのかというとガラス固化体一本の放射能は約4×10の15乗ベクレルで、1万年後に1/2000の約2×10の12乗ベクレル、10万年後に1/6000の約7×10の11乗ベクレル、100万年後には1万分の1である約3.5×10の11乗ベクレルという計算が出ています。「ベクレル」というのは放射性物質が発する放射能量の単位で、よく使われる「シーベルト」とは違います。シーベルトは「人間の被ばく放射線量」を表す単位で、放射性物質があっても、それから「どれくらい離れているか」で被ばく量は変わるので別の単位が使われている訳です。

少しわかりやすい例で言いますとバナナ、ジャガイモ、インゲン豆、ナッツ等の農産物にも自然放射能が含まれており、最も高いナッツで1kgあたり244.2ベクレルです。このレベルでは毎日、食べても影響はありません。さて100万年後の「3.5×10の11乗ベクレル」ですが、分かりやすい数値にすると 350,000,000,000ベクレルとなり、ナッツ1Kgのおよそ409,500,410倍という凄まじく高い数値で、まだ、とても安全とは言えません。計算上、10兆年後には550,555,555ベクレルになるのですが、これでもまだ安全とは言えません。しかし50億年後には太陽は赤色巨星と化し太陽系、そのものが消失する予定ですので10兆年後の計算は意味がありません。つまり高レベル放射性廃棄物は地球が存在している間はずっと危険なままなのです。アメリカは埋設地域の管理期間を100万年としていますが、数値としては「それでも足りない」のです。ですが300m地下という場所であれば危険物質であっても地表への影響は相当に減衰される、と考えられ研究が進められている訳です。ただ単に「埋める」だけではダメである事は、御理解頂けたと思いますが、さて、ではどうすれば良いのでしょう? バリアーを目一杯かけて影響を抑えれば大丈夫そうなのですが、そうなると「一体、人類はいつまで続くのか?」という問題になってしまうのです。少なくとも人類が存続する期間は、そのバリアーは持ちこたえてくれないと困るのですから。しかも、まだ問題はあるのです。

1万年という時間

今から1万年前というと、だいたい縄文時代にまで遡ります。仮に縄文時代に「ここに危険な物質を埋めたから立ち入り禁止だよ」という情報が残されたとして、その情報がいつまで正確に次の時代に伝わるでしょうか?誰が考えても「現代まで伝わるのは相当に怪しい」と思わざるを得ないと思います。実は「1万年では全然、足りない」のですが、情報伝達は1万年でも難しそうです。アメリカでも100万年という管理期間を設定してみたものの、仮に100万年後まで人類が存続していたとして、果たして、その情報がちゃんと次の時代に伝わっていくのかどうかが懸念されているのです。

今、私達にできる事

難問が立ちふさがり、にっちもさっちもいかなくなったら「今、私達に出来る事」をするしかありません。そして解決できないまでも、持ちこたえる事が出来れば未来の人類が解決方法を見つけ出してくれるかもしれません。実は「それが最も現実的な解決方法」かもしれないのです。政治家が「自分達の子孫に宿題を残してはいけない」と言いますが、技術的な問題である以上、人類の技術進歩を待つしか方法が無いのです。人類の宇宙工学技術が進歩すれば(間違いなく進歩するでしょう)厄介なゴミを太陽に放り込む事も可能になる日がきっと来るでしょう。そして、それには10000年もかからないのではないか、と思えます。この問題を根本的に解決する技術を現時点の人類は持ち合わせていない以上、そう期待するしかないのです。

私達、先進国に暮らす者は電気のおかげで便利な生活を享受しています。そして現代では生活も仕事も電気無しでは行えないのが現実です。その便利な生活と生活費を稼ぐための仕事、それらは全て電気あっての物で、その電気の多くは原子力発電によって起こされている事を考えれば、これはツケであると考えるべきでしょう。寿都町と神恵内村では反対派と賛成派が対立しているそうですが、賛成派の方の中に「これまで我々は電気の恩恵を受けてきた。だから、その恩恵に感謝する気持ちが必要ではないか。もし、最終処分場を引き受ける事で、その恩返しが出来、しかも日本全体が助かるというのであれば、それを我々が引き受けるという選択があってもも良いのではないか」とおっしゃっている方がいました。都会に暮らし何の気兼ねもなく電気を使いたいだけ使っている私には胸に突き刺さる言葉です。これから、どうなるのか、まだ分かりませんが仮に最終処分場が寿都町、神恵内村となった場合、この方の言葉だけは忘れたくないものです。

↓タグ一覧

すまい給付金 イギリス ウイルス シングルマザー ジブリ スピリチュアル スポーツ ダイエット バイアス メンタルトレーニング 不動産投資 住宅ローン減税 切手 動物占い 北朝鮮 営業の見える化 営業マンの交渉の極意 営業マンの売れる極意 営業マンの売れる話し方の極意 営業マンの契約する極意 営業手法 弾道ミサイル 授業 教え方シリーズ 映画 潜水艦 相手にしゃべらせる質問術 知ると面白い 細菌 自動化営業法 豊かになるお金の話 除毛 音楽 麻薬 龍涎香

↓最新記事